輸入食品店でたまに見かける、パンなどに塗るマシュマロクリームのフラフ(fluff)。ほんとたまにしか見かけないので人気があるのかどうなのか、初見では判断が難しいと思う。今回はそんなフラフの最高の食べ方と全米の注目を集めた胸熱なエピソードについて書いてみたい。
フラフの歴史は長く、商品化されてから100年以上が経つ。その正体を一言で現すなら、アメリカ北東部ニューイングランド地方の超定番ソウルフード。そして食べ方はこれに尽きる。フラッファーナターだ。
用意するのは食パン2枚とピーナッツバター。
作り方は簡単。それぞれの面にフラフとピーナッツバターを塗って……
くっつけて完成。
私のおすすめはこちら。まず、片方に輪切りのバナナを追加して2枚をくっつける。
室温に戻したバターを両面に塗って、フライパンで5.6分づつ焼く。
グリルド・フラッファーナター。激甘に見えるけど、フラフ自体はそれほど甘くない。溶けたピーナッツバターと加熱されたバナナによる高級感溢れる味をお試しあれ!
基本的にマシュマロだから焼くのも楽しい。
BBQにもいいかも。
一瓶450円くらいでよく見る。セールで見かけたこともあるな。成分が分離してることがあるから混ぜてから使うのがおすすめ。
最後にフラッファーナターを巡るエピソードを書こう。きっとこのサンドイッチが好きになると思う。
2006年、マサチューセッツ州ケンブリッジの公立小学校がフラッファーナターを給食で毎日提供していることを問題視した州の上院議院が、児童のフラッファーナター摂取制限を定める法案を提出した。これに対し、反対派議員がフラッファーナターを州認定サンドイッチとする法案を逆提出。マシュマロ・ウォー*1と呼ばれたこの珍騒動は、ニューイングランド地方以外ではまったくの無名だったフラッファーナターの存在を全米に広めることとなった。
さらに2008年、同州出身の宇宙飛行士Rick Linnehan氏が国際宇宙ステーションでフラッファーナターを食べる姿*2に国民は仰天。その後もその名はじわじわと浸透していき、ついに2021年、アメリカ最古の国語辞典『メリアム=ウェブスター』が認めるところとなり、フラッファーナターは国語として正式に登録*3されたのであった。
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かなりしょーもない話だが、郷土愛溢れるいいエピソードだと思う。メリアム=ウェブスターの新規登録語は毎年必ずいくつか料理が入る。昨年は私も大好きなハンバーガーに関するワードが登録された。上記のおすすめ記事はそれについて書いたものなので、ご一読いただけたら幸いです。
*1:Goo and Fluff Prevail in Battle Over Lunches - The New York Times
*2:National Fluffernutter Day - National Today
*3:Attention, New Englanders: Fluffernutter Is Now a Word - The New York Times