自炊探偵、あらわる。

The Adventures of Detective Gohan

150年の技で簡単かつリアルなアメリカン・ハンバーガーを作る

 今回はハンバーガーだ。もちろん、今さらではなく、今だからこそお伝えする価値があるレシピを書くので期待して欲しい。ありふれた食材で誰でも簡単に本格的なハンバーガーが作れる。

 先に概要だが、まずアメリカに 150年前から伝わる技を伝授する。基本的な肉の焼き方だ。次に現代の選りすぐりの技の中から、アメリカの人気ハンバーガー店『In-N-Out Burger (イン・アンド・アウト・バーガー)』と、『FIVE GUYS(ファイブ・ガイズ)』 がそれぞれ実際に取り入れている技を紹介する。これらを盛り込みリアルな味に仕上げていきたい。

 まずは、アメリカに古くから伝わるテクニックについて。これは「smashburger(スマッシュバーガー)」という技法だ。この言葉(名詞)は2023年度にアメリカ最古の国語辞典『Merriam-Webster』に正式に登録されたばかり。これが今だからこそお伝えしたい理由だ。意味は、丸めた挽肉を鉄板などの上で押しつぶして焼いた肉のこと。歴史家でハンバーガーの権威であるジョージ・モッツ氏によると、この 表面にカリカリ感を与えつつ、肉のうまさを閉じ込めるシンプルな技法は150年前に確立した。*1

 この技を取り入れている店はめちゃめちゃあるが、一番有名なのは『Smash burger(スマッシュ・バーガー)』だろう。その技法名そのものが店の名前になっていて、アメリカを中心に200店舗以上ある。人気も高くランキング上位の常連だ。

イン・アンド・アウト・バーガー(Pubic Domain)

 続いて、ロサンゼルス・ドジャース大谷、山本由伸をも虜にした 『イン・アンド・アウト・バーガー』のテクニックについて。同店で定番のアニマル・スタイルと呼ばれるスタイルの中に、マスタードを肉に塗って香ばしく焼く、というのがある。これがスマッシュバーガーととても相性が良いため、このレシピで採用する。

ファイブ・ガイズでのオバマ氏(Pubic Domain)

 最後に『ファイブ・ガイズ』のテクニック。こちらのハンバーガーはアルミホイルに包まれている。地味ではあるが、それこそがバンズにほどよい湿気を与え、味の一体感に貢献するという彼らの主張を支持する。チーズが確実に溶けるし、手が汚れず食べやすいしね。

自炊探偵のクラシック・スマッシュバーガー

アルミホイルに包む前

【材料(2人前)】

  • バンズ 2個
  • 合挽き肉 320g
  • チェダーチーズ 4枚
  • レタス 1枚
  • アーリーレッド(紫玉ねぎ) 2スライス
  • トマト 2スライス
  • バター 12g
  • マヨネーズ 大さじ1.5
  • ケチャップ 大さじ1.5
  • マスタード 少々
  • 塩・胡椒 少々

 じつはバンズが一番入手し辛かったりする。今日はパン屋さんで買えたが、近所のスーパー、『ロピア』で第一パンのゴマ付きバンズを買ったり、『ライフ』の自家製バンズを買ったりもしている。マスタードはディジョンマスタードがよいが、もし家にあるなら豚カツ弁当などのオマケで取っておいた小さいカラシの出番だ。トマトはパスしてもよいが、このレシピだと食べやすいのでよかったらぜひ。アーリーレッドの代わりに普通の玉ねぎを焼いてもよい。合挽き肉は入手しやすいものでよい。

【ご用意いただくもの】

  • 肉が潰せるもの
  • クッキングシート
  • アルミホイル

 肉を潰して作るため、潰せる道具が必要だ。専用のものがある家庭は少ないだろう。そこで、ある程度しっかりした底が平らなもので代用する。私はこのヤカンだ。小さい鍋でもいいな。もちろん、怒る人もいるかもしれないから自己責任で。肉と道具の間に挟むクッキングシートも必要だ。約15センチ角に切ったものを用意する。大きいと逆に邪魔だから切ったほうがよい。最後に包むアルミホイルもお忘れなく。

【 手順】
 

トマト、アーリーレッドをスライス。レタスはちぎって小さくする。アーリーレッド少なめの場合は中を抜く。外の1.2枚だけでもよい。

挽肉に塩胡椒を少々振る。

練らずに、肉を潰さずに、そっと混ぜてだいたい4当分に分ける。

おにぎりのように丸く固める。柔らか過ぎず硬過ぎずを目指す。できたら一旦冷蔵庫へ。

このタイミングでバターを電子レンジで10秒くらい温めておく。時間があるなら最初から室温戻しがよい。ソースを作っておく。ケチャップとマヨネーズを混ぜるだけ。

バターをバンズの裏面に塗り中火〜強火で焼く。このとき、フチを注意して塗るとよい。

フチは食べるときに視界に入るので焼けてると美味しそうに見える。香りもよい。

中火の上で1枚づつ焼く。肉にクッキングシートを被せて……

用意した道具で押し潰す。薄く潰れたら放置して全体で2分焼く。

こんな感じで潰れてる上にマスタードを塗ってひっくり返す。同じく2分焼く。

できたら一旦皿に移し、フライパンをさっと拭いて2枚目を作る。さっきと同じ方法で片面を焼き、マスタードを塗り、ひっくり返したら……

肉、チーズ、さっき焼いた肉、チーズを乗せて2分焼く。このとき、2枚のチーズをクロスさせ、星のような形にする。チーズを同じ向きで乗せない。

バンズのひと組にソースを塗っておく。

アルミホイルの上で、下からトマト、レタス、アーリーレッド、肉、をバンズで挟む。順番は好みでよい。

アルミホイルで包む。

1分待つ。

完成。もうひとつも同じように作る。

 ここから好みの味や具材を追求するのも楽しい。アボカドを挟むとか、キノコのソテーを入れたりしたら最高のグルメバーガーになる。私はたまに、自分で漬けたハラペーニョのピクルスを挟んだり、肉を1枚増やしたりする。でも一番多いのはこのレシピのシンプルな構成だ。

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