自炊探偵、あらわる。

The Adventures of Detective Gohan

サイバーパンクな蛍光ゼリーを作る

 突然だが、蛍光物質であるビタミンB2は紫外線を浴びると発光する。これは先日スーパーで特売(78円)になっていた『デカビタちいパワー』なるドリンクなのだが、ここにブラックライトを当ててみると……

 光る。成分に含まれているビタミンB2がブラックライトから放たれた紫外線に反応するからだそうだ。

 前回の記事以降、すっかり『ぷるぷるうさぎプリン』にハマった私は、さらなるオリジナリティを求めていく中で、この性質を利用した光るゼリーを作ることを思いついた。もちろん、同じ「うさぎ型」を使って立体的に仕上げていく。つまり……

 これの蛍光バージョンだ。このうさぎが光ったらさぞかわいいことだろう。考えただけでウキウキするぞ。さっそく取り掛かろう。

 とりあえず、デカビタにゼラチンとグラニュー糖を入れて溶かした。

 冷やしてからブラックライトを当ててみる。ばっちり光ってる。まるでネオンのようで予想以上だ!なんだかヤバいものを作っている感じもたまらない。

 失敗した。ちゃんと固まらなかったようで、うまく取り出せなかった。じつはこのあとも3回失敗した。それぞれやり方を変えて臨んだのだが、自立できる硬さというのがなかなか難しい。方法が悪いのか技術が足りないのかもわからず、けったいな味のゼリーを食べ続ける日が続いた。

 ↑カラメルプリン。↓バニラ&チョコレート。

 いったんやめて違うのを作った。美味しい。けど、やっぱり、バッキバキの蛍光を作りたい……

 ペットボトルにちょろっと残したデカビタを資源ごみに出す日がきた。炭酸が抜けて飲めないだろうから、もう一度挑戦するしかない。科学的に有利に働くかはわからないけど、シュワシュワしないので作りやすかった。粉末寒天2グラム、デカビタ180cc、グラニュー糖小さじ1で挑戦。半日冷蔵庫で冷やして、取り出す前に型をお湯に潜らせた。

 できてしまった!上に書いたこと、どれが効果的だったのかさっぱりわからないけど成功したっぽい。めちゃくちゃ眩しい!

 顔の中に気泡があるような。もっとゆっくり型に注ぐべきだったか、関係ないか不明だけど、うまくいくと思わなかったので、つい雑に注いでしまったのは確かだ。ゴマで顔を描いたらなかなかかわいい。

 ぷるぷる度は50点くらい。ゼリーとしてはそれほど固くなく、噛むとホロリと崩れる感じ。
 

 うーん。これはいいな。サイバーパンク的な世界観だ。もしもAIに食欲があったら、こんなの食べてそう。

 ということで、今回はあきらめない心で成功させたということにしよう。

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怪奇!ぷるぷるうさぎプリン、あらわる。

 韓国食材を買いに新大久保に行く際は、キッチン雑貨も必ずチェックしているのだが、今回もボムカフェさんで珍品を発見した。韓国から今まさに日本中のカフェに勢力を拡大している『ぷるぷるうさぎプリン』の型である。

 日本では『猫プリン』とも呼ばれているそうだ。今回は、つい衝動買いしてしまったこのシリコンの型で、うさぎプリンを作るまでを記す。

 ぷるぷるしても壊れない硬さとしなやかさ、そして、お菓子作り初心者の私でも作れる簡単さを兼ね備えたスイーツを見つけねばならない。熟考した結果、ゼラチンやアガーよりも硬く凝固する寒天ベースにしようと思った。ならばやっぱり『かんてんぱぱ』の一択だ。中でも、色の良さとソース付きが高ポイントな『ババロリア』に決めた。これならあとは牛乳だけで作れる。

 『かんてんぱぱ』の伊那食品は長野県の企業だが、全国に直営店もあるそうだ。ここ東京のスーパーでもけっこう売っている。今回はパントリーで購入したが三浦屋で見たこともあるな。

 沸騰したお湯100ccに粉を入れる。溶けるとピンクになるようだ。

 1分間かき混ぜる。

 牛乳200ccを加える。

 説明書に書いてあるが、この先、強く混ぜるとムース状になり、混ぜないとプリン状になるそうだ。私は10秒くらい優しく混ぜて作業を終えた。

 うさぎ型に注入。ちなみにこの型の容量はちょうど200ccなので、残りはコーヒーカップに入れた。あとは2時間待つだけ。

 2時間後。しっかり固まっている。シリコンとプリンの境をそっと剥いで、皿にのせてみよう。

 つるんと出てきた!

 ごま塩から黒ゴマを3つ拝借し、濡らした爪楊枝で目と鼻を貼りつけた。付属のソースを散らして完成。ぷるぷるしてみよう。

 少し揺らしただけでもすごい!激しくぷるぷるしても黒ゴマは落ちない。表面張力か何かが発動しているのだろう。

 しつこくない優しい甘さと食感が最高。大成功だったのだが……

 食後にあらためて『ババロリア』の原材料を見てみたら、寒天よりもゼラチンの方が多く含まれているっぽい!つまり寒天ベースが正解というわけではなく、結果オーライであった。

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 今回、ブログでは動画を直接貼れないためGIFアニメにした。ちゃんと動作するか心配だけど、なめらかな動きが伝われば幸いだ。

カート・コバーンのレシピ『ママのシーシェル・シュリンプ・サラダ』を作る

 シリーズ5回目は再びニルヴァーナの故カート・コバーンのレシピから。出典は前回同様、彼の手書きノートである書籍『Journals』だ。ミュージック・ビデオのアイディアと同じページに書かれており、『moms seashell shrimp salad』という料理名が読める。シーシェル型マカロニを使ったエビサラダだろう。しかし、その下に続く材料表の中には肝心のエビが入っていない。書き忘れなのか、違う理由があるのか真相はわからないが、ここではレシピ通り、エビ抜きのサラダを作ろう。

カート・コバーン『ママのシーシェル・シュリンプ・サラダ』
Kurt Cobain’s Mom's Seashell Shrimp Salad

【材料(2人分)】所要時間20分

  • シーシェル型パスタ 120g
  • マヨネーズ (★) 大さじ3
  • サワークリーム (★) 大さじ3
  • マスタード (★) 小さじ1/2
  • 塩・胡椒 (★) 少々
  • セロリ 1/4本
  • 玉ねぎ 小1/4個
  • ディル 少々
  • オリーブ 適量

 材料はオリジナルのレシピから変更なし。ただ厳密に言えば、マヨはキューピーではなく、海外の酸っぱめのマヨネーズがファーストチョイスだろう。

【手順】

 玉ねぎ、セロリは薄切り。パスタを茹でる間、玉ねぎを水にさらし、★を混ぜソースを作る。パスタを流水で冷まし、ソースを絡め、オリーブとディルを添える。

 今回は材料のみで工程が書かれていないレシピだったが、多分こんな感じだと思う。まさかの温サラダだったらショックだけど、それはないと思うな。では、いただきます。

 作る前から予想してはいたが、あまり私の好みではない。サワークリームがそれほど好きでないからだ。でも妻は美味しいとのこと。慣れると美味しいと言われ、それはその通りだった。食べ進めるうちにいいなと思った。さらに、時間をかけてダラダラ食べていたら普通に美味しく思うようになった。つまり、あれだ!これは結局マカロニサラダであることを忘れていた。マカロニサラダでよく言われる、作ったらしばらく冷蔵庫で寝かして味を落ち着かせる。これをすればよかったかもしれない。あと、それとは別に、やっぱりエビが入っていたらもっと美味しかったと思う。

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 カートはどれだけ稼いでもクラフトのマカロニチーズ(インスタント)を食べていたという。それだけ聞くと食に関心がなかったように受け取れてしまうが、実際には、みつかっているだけでもこれと上記のものと2つのレシピを書き遺した。これは食に興味があったことへの証左に他ならない。このレシピだって簡単に見えて、マヨネーズとサワークリームの比率が1:1だとか、見ようによってはこだわりのポイントがいくつもある。母親のレシピだったとしても、その味を材料と分量で把握しようとするのは素晴らしいことだ。音楽以外に注がれた情熱から見えてくるものもあるだろう。

150年の技で簡単かつリアルなアメリカン・ハンバーガーを作る

 今回はハンバーガーだ。もちろん、今さらではなく、今だからこそお伝えする価値があるレシピを書くので期待して欲しい。ありふれた食材で誰でも簡単に本格的なハンバーガーが作れる。

 先に概要だが、まずアメリカに 150年前から伝わる技を伝授する。基本的な肉の焼き方だ。次に現代の選りすぐりの技の中から、アメリカの人気ハンバーガー店『In-N-Out Burger (イン・アンド・アウト・バーガー)』と、『FIVE GUYS(ファイブ・ガイズ)』 がそれぞれ実際に取り入れている技を紹介する。これらを盛り込みリアルな味に仕上げていきたい。

 まずは、アメリカに古くから伝わるテクニックについて。これは「smashburger(スマッシュバーガー)」という技法だ。この言葉(名詞)は2023年度にアメリカ最古の国語辞典『Merriam-Webster』に正式に登録されたばかり。これが今だからこそお伝えしたい理由だ。意味は、丸めた挽肉を鉄板などの上で押しつぶして焼いた肉のこと。歴史家でハンバーガーの権威であるジョージ・モッツ氏によると、この 表面にカリカリ感を与えつつ、肉のうまさを閉じ込めるシンプルな技法は150年前に確立した。*1

 この技を取り入れている店はめちゃめちゃあるが、一番有名なのは『Smash burger(スマッシュ・バーガー)』だろう。その技法名そのものが店の名前になっていて、アメリカを中心に200店舗以上ある。人気も高くランキング上位の常連だ。

イン・アンド・アウト・バーガー(Pubic Domain)

 続いて、ロサンゼルス・ドジャース大谷、山本由伸をも虜にした 『イン・アンド・アウト・バーガー』のテクニックについて。同店で定番のアニマル・スタイルと呼ばれるスタイルの中に、マスタードを肉に塗って香ばしく焼く、というのがある。これがスマッシュバーガーととても相性が良いため、このレシピで採用する。

ファイブ・ガイズでのオバマ氏(Pubic Domain)

 最後に『ファイブ・ガイズ』のテクニック。こちらのハンバーガーはアルミホイルに包まれている。地味ではあるが、それこそがバンズにほどよい湿気を与え、味の一体感に貢献するという彼らの主張を支持する。チーズが確実に溶けるし、手が汚れず食べやすいしね。

自炊探偵のクラシック・スマッシュバーガー

アルミホイルに包む前

【材料(2人前)】

  • バンズ 2個
  • 合挽き肉 320g
  • チェダーチーズ 4枚
  • レタス 1枚
  • アーリーレッド(紫玉ねぎ) 2スライス
  • トマト 2スライス
  • バター 12g
  • マヨネーズ 大さじ1.5
  • ケチャップ 大さじ1.5
  • マスタード 少々
  • 塩・胡椒 少々

 じつはバンズが一番入手し辛かったりする。今日はパン屋さんで買えたが、近所のスーパー、『ロピア』で第一パンのゴマ付きバンズを買ったり、『ライフ』の自家製バンズを買ったりもしている。マスタードはディジョンマスタードがよいが、もし家にあるなら豚カツ弁当などのオマケで取っておいた小さいカラシの出番だ。トマトはパスしてもよいが、このレシピだと食べやすいのでよかったらぜひ。アーリーレッドの代わりに普通の玉ねぎを焼いてもよい。合挽き肉は入手しやすいものでよい。

【ご用意いただくもの】

  • 肉が潰せるもの
  • クッキングシート
  • アルミホイル

 肉を潰して作るため、潰せる道具が必要だ。専用のものがある家庭は少ないだろう。そこで、ある程度しっかりした底が平らなもので代用する。私はこのヤカンだ。小さい鍋でもいいな。もちろん、怒る人もいるかもしれないから自己責任で。肉と道具の間に挟むクッキングシートも必要だ。約15センチ角に切ったものを用意する。大きいと逆に邪魔だから切ったほうがよい。最後に包むアルミホイルもお忘れなく。

【 手順】
 

トマト、アーリーレッドをスライス。レタスはちぎって小さくする。アーリーレッド少なめの場合は中を抜く。外の1.2枚だけでもよい。

挽肉に塩胡椒を少々振る。

練らずに、肉を潰さずに、そっと混ぜてだいたい4当分に分ける。

おにぎりのように丸く固める。柔らか過ぎず硬過ぎずを目指す。できたら一旦冷蔵庫へ。

このタイミングでバターを電子レンジで10秒くらい温めておく。時間があるなら最初から室温戻しがよい。ソースを作っておく。ケチャップとマヨネーズを混ぜるだけ。

バターをバンズの裏面に塗り中火〜強火で焼く。このとき、フチを注意して塗るとよい。

フチは食べるときに視界に入るので焼けてると美味しそうに見える。香りもよい。

中火の上で1枚づつ焼く。肉にクッキングシートを被せて……

用意した道具で押し潰す。薄く潰れたら放置して全体で2分焼く。

こんな感じで潰れてる上にマスタードを塗ってひっくり返す。同じく2分焼く。

できたら一旦皿に移し、フライパンをさっと拭いて2枚目を作る。さっきと同じ方法で片面を焼き、マスタードを塗り、ひっくり返したら……

肉、チーズ、さっき焼いた肉、チーズを乗せて2分焼く。このとき、2枚のチーズをクロスさせ、星のような形にする。チーズを同じ向きで乗せない。

バンズのひと組にソースを塗っておく。

アルミホイルの上で、下からトマト、レタス、アーリーレッド、肉、をバンズで挟む。順番は好みでよい。

アルミホイルで包む。

1分待つ。

完成。もうひとつも同じように作る。

 ここから好みの味や具材を追求するのも楽しい。アボカドを挟むとか、キノコのソテーを入れたりしたら最高のグルメバーガーになる。私はたまに、自分で漬けたハラペーニョのピクルスを挟んだり、肉を1枚増やしたりする。でも一番多いのはこのレシピのシンプルな構成だ。

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カート・コバーンのレシピ『ノー・ベイク・クッキー』を作る

 今回はニルヴァーナのカート・コバーンが遺したレシピでクッキーを作る。少し変わっていて『アンプラグド』ならぬ『アンベイクド』なクッキーだ。つまり、焼かない。まずはいつも通りレシピの紹介から始めよう。

 そのレシピは2002年に発売された、カートの直筆の手記で構成される書籍『Journals』の改訂版で確認できる。改訂時にいくつか追加された手記のひとつだ。*1

 ノートの1ページを使って材料と分量、それに簡単な指示が赤ペンで書かれている。料理名は書かれていないが、Webで調べるとアメリカではポピュラーな焼かないクッキー、『ノー・ベイク・クッキー(No-bake Cookies)』のオルタナティブのようだ。

 作る前に、基本のノー・ベイク・クッキーと比較してみた。カートのレシピは明らかに変わっていて、ピーナッツバターを使わない。代わりに何か入れるわけでもなく単に抜いてある。定番のレシピでは最後にピーナッツバターを練り合わせてクッキーを成型する。

 今回は2度失敗した。調べると、どちらもノー・ベイク・クッキーの典型的な失敗パターンで、1度目はゆる過ぎ、2度目はドライ過ぎてうまく固まらなかった。だが、ピーナッツバター不使用が理由ではなさそうなので、分量を見直した。

 カートの元レシピは大人数分だった。大人数分を少人数分にする場合、単純に各材料を比率で少なくしてもダメな時がある。そう、マルちゃんの焼きそばが2人前では水100ccだけど、1人前では50じゃなくて60ccのように。なので、少しだけ材料の比率を変えた。マルちゃん理論だ。

 また、ココアは入手しやすい森永ミルクココアにしたのだが、砂糖が入っているため甘過ぎた。レシピでは無糖のものを想定していたようだ。ここは砂糖を減らすことで乗り切った。

 高カロリーなお菓子だし、余っても食べ切れないと思うので、たった3枚分のレシピにした。材料はすべて入手可能なのでオリジナルのまま。ちなみにクイックオートミールは普通のオートミールとは別物なので注意。カルディで買える。

カート・コバーン『ノー・ベイク・クッキー』
Kurt Cobain’s No-Bake Cookies

【材料・3枚分】所要時間30分

  • クイックオートミール 35g
  • バター 40g
  • 砂糖 25g
  • 牛乳 15ml
  • ココア 小さじ1
  • バニラエッセンス 少々
  • 塩 ひとつまみ

 クイックオートミールをボウルに入れておく。

 その他の材料をすべて鍋に入れ中火にかける。

 沸騰したら1分煮る。焦がさぬよう注意が必要だが、弱火ではいけない。

 クイックオートミールを加えて混ぜる。

 クッキングシートに小分けに広げ、粗熱が取れたら冷蔵庫で20分〜寝かせる。固まったら完成。

 あっという間にできた!焼かなくてもこんなにしっかり固まってる。スメルス・ライク・チョコレート。これは間違いないはず!


 
 塩キャラメル味。めっちゃうまい!甘いからコーヒーがどんどん減る。走り書きだったけど、ちゃんとクッキーのレシピだった。

 カートはずっと胃に問題を抱えていた。それゆえに、食べられるものに制限があった。豪華な食事よりもクラフトのマカロニ&チーズやネスレのストロベリー・クイックを好んだのは有名な話。このクッキーもきっと彼の身体に合ったんだと思う。

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*1:英語版。2003年発売の日本語版に掲載があるかは未確認。

チュモッパ(チュモクパプ)の最高の食べ方と隠し味の考察

 大人気のチュモッパ、またはチュモクパプは韓国の小さいおにぎりで、検索すればレシピがたくさん出てくるんだけど、どれも作り方にしかフォーカスしていないのが気になる。

 と言うのも、チュモッパはそれだけで食べるというより、辛い料理と合わせて食べることで、その食事を何倍にも豊かにするものじゃないかと思うから。単調になりがちな旨辛、激辛に変化をつける名脇役。チュモッパが輝く場所は辛い料理の横だと思う。

辛ラーメン&とびっこチュモッパ

 その手軽さを考えると、やっぱりラーメンと合わせるのが最高だと思う。旨辛いスープと出会うことで初めて味が完成する、そんなチュモッパが最高にいい。逆に言えば、チュモッパさえあれば、辛いのが苦手な人でも韓国ラーメンを美味しく食べれるようになります。辛さ避けにもなるから。

ノグリ&ツナチュモッパ

 そのためには2つ。まず、塩味を抑える。スープの辛さをブーストさせないため。そして、隠し味に、シンプルだけど、砂糖を少し入れる。旨辛に馴染むし、チュモッパにはマヨネーズ、つまり酢が入るので、砂糖が加わると少し寿司っぽい口あたりになり、辛いスープに負けなくなる。

 今回は新大久保の韓国雑貨店『ボムカフェ(BOM CAFE)』で購入した振って作る「チュモッパ・メーカー」を使います。小さく均一に作れて便利だけど、韓国ではチュモッパは使い捨て手袋とともにセルフサービスで提供されるもの。自分で握る代わりに発明されたのかもしれない。

 セリアのこども用おにぎりメーカー「ふりふりご飯ボール」がほぼ同じ構造なので、ご興味ある方はぜひ。ちなみに上記画像のサイズでご飯1合で25個作れる。

 今日は0.5合で基本のとびっこを使うレシピだけど、ツナで代用するのも美味しい。

【材料】

  • 温かいごはん 0.5合(90g)
  • 韓国のりふりかけ 大さじ1
  • たくあん 5グラム(小さく刻む)
  • ※とびっこ 5グラム
  • マヨネーズ 小さじ1
  • 砂糖 ひとつまみ
  • ごま油 少々(ちょろっと)

 ※ツナの場合はツナ小さじ2

 混ぜるだけ。分量はフィーリングで全然いいと思います。韓国のりふりかけは最初からのりが細かいから便利。韓国のりをちぎってももちろんよし。

 高速で振って完成。

 ↑これは、弁当用に作った鶏そぼろをとびっこの代わりに入れたオリジナルバージョン。気に入ってます。
 

ヨルラーメン&鶏そぼろチュモッパ

 なんで今までチュモッパなしに辛いラーメンが食べれたんだろう?と思うこと間違いなし。ラーメンからチュモッパ、チュモッパからラーメンのターンがいちいち美味い。旨辛文化の中で必要に応じて誕生したおにぎりじゃないかと思う。

 ちなみにこのヨルラーメン(と読むそうです)がお気に入り。辛さは辛ラーメンくらいだけど、旨みが強い。

 

マイルス・デイヴィス のレシピ『サウス・サイド・シカゴ・チリ・マック』を作る

 マイルス・デイヴィスは料理が大好きだった。ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックらとジャズ史上最強のクインテットを結成した黄金の1960年代は、じつはマイルスにとって自炊熱中時代とも言えるようだ。  

 1989年の自伝『Miles』によると60年代から外食を控え料理を始め、アフロアメリカンからフレンチまで習得したそうだ。フェイバリットは『Miles's South Side Chicago Chili Mack』なるオリジナル料理。チリをパスタにかけたものらしいが、詳細不明のまま彼は帰らぬ人となった。

84年のマイルス(Public Domain)

 しかし、2007年に意外な形で全貌が明かされる。60年代を彼と共に過ごした元妻のフランシスが男性誌『Best Life』にレシピを発表したのだ。今回はこのパスタに挑んでみよう。入手しやすい材料と作りやすい分量に整えたレシピは以下の通り。

マイルス・デイヴィスのサウス・サイド・シカゴ・チリ・マック
Miles Davis’ South Side Chicago Chili Mack

【2人分】

  • オリーブオイル 大1
  • 玉ねぎ(粗みじん切り) 大1/2
  • 合い挽肉 300g
  • ★塩・胡椒
  • ★ガーリックパウダー 小さじ1
  • ★チリパウダー 小さじ1/2
  • ★クミンシード 小さじ1/2 
  • ☆キドニービーンズ(水煮) 50g
  • ☆水 100cc
  • ☆マギーブイヨン 1かけ
  • ☆赤ワイン 少々
  • ☆酢 少々
  • パスタ 200g
  • パルメザンチーズ お好み

①フライパンにオリーブオイルを入れ中火で玉ねぎを炒める。

②合挽き肉に★の調味料を加える。玉ねぎが澄んできたら投入し炒める。

③挽肉に焼き目がついたら☆を加える。火を弱め、途中かき混ぜながら40分ほど煮込む。味見し味を整える。チリパウダーを少し足した。

④茹でたパスタを皿に盛り、③を装り、パルメザンチーズをかけ完成。

 そうだ、直前にハイネケンを開けるのがマイルス流らしいです。では、いただきます。

 この組み合わせでちゃんと美味しいからおもしろい。いわばチリコンカンとイタリアンのフュージョンなんだけど、トマト抜きのチリというのが珍しい。調べたら、サウス・シカゴにはトマトを使わないチリの店がいくつかあったので、ローカルチリのようだ。合わせるのがロングパスタというのもかなり変わってる。でもこれが、肉のボリューム感にとてもよく合う。チーズもチリをベースに考えるとチェダーが順当だけど、パルメジャーノにしてパスタに寄せてる。逆にチリにトマトが入ってたらイタリアン要素があり過ぎてて露骨だったかも。絶妙なバランスだと思う。

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 楽しかった。調理中に何度か「これであってますかね?」とマイルス料理長の顔色をうかがう自分がいた気がしてちょっと変わった料理体験であった。