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ローリング・ストーンズ のレシピ 『ホットドッグ・オン・ザ・ロック』を作る

 少し前に海外のSNSで、1967年発行のレシピ本『Singers and Swingers in the Kitchen』なるものが話題になっていた。当時のトップ・ミュージシャンのお気に入りレシピを集めた企画で、レシピはどれも簡単ながら、人柄や音楽以外での創造性が垣間見れる貴重な本のようだ。

67年のローリング・ストーンズ(Public Domain)

 そもそもの元ネタなのか、それとも追随記事なのかは不明だが、いくつかの海外WEBメディアも同書を取り上げている。今回はその中から、ロックの新時代を告げた名盤『アフターマス』をリリース直後のローリング・ストーンズによる『ホットドッグ・オン・ザ・ロック』を作ってみよう。まずは材料リストから。

【メンバー5人分】
・フランクフルトソーセージ 10本
・インスタント・マッシュポテト 5人分
・ベイクド・ビーンズ 1缶

 書かれている材料はたった3つだけ。しかし、少しだけ文化の壁を越えなくてはならない。まず、フランクフルトソーセージは問題ない。インスタント・マッシュポテト、これはお湯をかけるだけで作れる乾燥マッシュポテトだ。先回りして作り方を見ると、牛乳とバターを使った普通のマッシュポテトでも良いと書いてある。ここでは後者を選択しよう。味がぜんぜん違う。最後が問題だ。ベイクド・ビーンズの缶詰。イギリスの朝食で定番の豆をトマトで煮たやつだ。少し入手が面倒だし、これも作ることにしよう。

 そんなわけで、実際には材料が増えたが、難しいことは何もないだろう。要は最後にその3つを合体させるだけ。そうそう、このレシピには、こんなエピソードがあるそうだ。

ミック・ジャガーがソーセージとポテトの組み合わせを考案し、チャーリー・ワッツがそこにベイクド・ビーンズを足した。

 彼らはこの料理をアメリカン・ディッシュだと言っていた。アメリカの食カルチャーを受け入れながら、伝統食のベイクド・ビーンズを楽しんでいたようだ。ここではそのひとつひとつの作り方も書こう。材料を書き加え、作りやすい分量に整えたレシピは以下だ。

ローリング・ストーンズの『ホットドッグ・オン・ザ・ロック』
Hot Dogs on the Rocks / The Rolling Stones

【2人分】
フランクフルトソーセージ
・フランクフルトソーセージ 150g
マッシュポテト
・じゃがいも 500g
・牛乳 100cc
・バター 10g
・塩 少々
ベイクド・ビーンズ
・水煮大豆 150g
・玉ねぎ 小1/2 ※みじん切り
・トマトピューレ 60g
・砂糖 大さじ2
・塩 少々
・クミンパウダー 小さじ1
・唐辛子(ここではカイエンペッパー) 少々

①【マッシュポテト】じゃがいもを鍋に入れ水をひたひたに入れ、水から茹でる。竹串がスッと貫通するまで茹でる。皮を後で剥くか先かはお好みで。

②【ベイクド・ビーンズ】その間に別の鍋で、ベイクド・ビーンズの材料をすべて入れ、中火〜弱火で15分煮る。水煮大豆はサッと洗った方がよい。

③【マッシュポテト】火が通った皮が剥かれたじゃがいもをボウルに入れ滑らかになるまで潰す。その後、鍋に入れ、バターと牛乳、塩を加え良い硬さになるまで弱火を入れる。牛乳は少しづつ入れてもよい。時折混ぜることを忘れない。

④【フランクフルトソーセージ】食べやすい大きさに切り、袋に書いてある通りに仕上げる。ここでは焼きを選択した。

⑤マッシュポテトを装り、ベイクド・ビーンズで囲み、上にフランクフルトソーセージを乗せて完成。

 早速、食べてみよう!

 ……作る前からよさそうだと思ったけど、想像以上にうまい。豆の甘さとウインナーの塩気が絶妙に甘じょっぱい。パンケーキにベーコン、ワッフルにフライドチキンを乗せるアメリカの甘じょっぱ文化がお好きな人には最高だと思う。よく分からぬまま食べさせられた妻もおかわりしてくれた。

 著者のロバータ・アシュレイは、発刊当時、ティーンエイジャーだったそうだ。そういえば、映画監督のキャメロン・クロウも70年代に16歳でロック記者をしていたな。『あの頃ペニーレインと』は彼の半自伝的映画で、10代の音楽コラムニストの冒険が描かれたいい作品だった。このレシピは、ロック自体が若く、関わる人もみな若かった時代の産物と言えそうだ。

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