将棋を観戦していると「指されてみると厳しい手」という独特の表現をよく耳にする。それは、予想外の妙手が炸裂したことを意味する定番フレーズだ。当然観ているほうも盛りあがる。そして、これは豊橋カレーうどんについてもぴったりな表現かもしれない。ご飯の上にカレーうどんが乗っているからだ。上の写真からではわからないだろう。
私は10年近く前、愛知の豊橋を訪ねたときに流れでこの不思議なカレーうどんを食べた。予備知識なしだったのでとても驚いた。丼の中にご飯、その上にトロロ、その上にカレーうどんが乗っていたのだから無理もない。ご飯にカレーうどん。字面にするとそれほど違和感がないが、一緒に装るという発想はちょっとなかった。いや、思いついたとしても、本当にやるとは……というのが正直なところだ。だが、美味しかった。指されてみると厳しい手、盛られてみるとウマい丼であった。
家に帰ってマネしようと思ったのだが、じつはトロロが得意ではない。そこで、トロロ抜きにし、代わりにチーズをのせることにした。
調べたら、豊橋カレーうどんには5つのルールがあるようだ。チーズの件を含め、いくつか反しているため本当は豊橋の名を名乗れない。だが、外すわけにもいかないので、ここでは、豊橋の要素が薄くなってしまった豊橋カレーうどんということで濁したい。具体的な違反は以下だ。
- トロロをチーズに変更
- 豊橋の自家製麺を冷凍讃岐うどんに変更
- 豊橋産ウズラ卵なし
- 福神漬け、紅生姜なし
カレーうどんとしても美味しく、ご飯、すなわちカレーライス状態でも美味しいカレーは、超簡単に作れる。最高に満足するレシピは以下の通り。
【材料(2人分)】
- ★肉 60g(鶏でも豚でも)
- ★玉ねぎ 小1/2
- ★にんじん 2センチ
- ネギ(薬味として)適量
- カレー 固形ルウ 3個(約60g)
- 顆粒のかつおだし 1本
- 醤油 大さじ1.5
- みりん 大さじ1.5
- 溶けるチーズ(ピザ用など)2枚相当
- 冷凍うどん(茹でるうどんでも)2玉
- ご飯 1合
- 水600cc
①鍋または大きめのフライパンに油をひき、★を炒める。
②水と顆粒のかつおだし 1本を入れ、一煮立ちさせる。
③火を止めてカレールウを入れてヘラなどで溶かす。溶けたら醤油、みりんを入れ一煮立ちさせカレーは完成。
④うどんを指示通りに仕上げ、カレーに入れる。
⑤ご飯を装りチーズをのせカレーうどんをのせる。好みで薬味を用意し完成。
いかがだろう?うどんとカレーの両立がばっちりできたのではないだろうか。今回、このようなアレンジで地元の方には大変に失礼する。しかし、10年前わずか2時間滞在したに過ぎない豊橋のことを、この愛すべき料理を作るたびに思い出している。どうかお許し願いたい。そうだ、4つも違反したルールだけど、ルールその5だけはちゃんとお守りしています。ルールその5、愛情を持って作ること。