ある夏の日に、私は妻とともにコロナに罹患した。高熱こそあれ食欲はあったので、行き場のなくなった弁当用のそぼろに手をつけることにした。
いつも弁当という密室に詰めている鶏と卵。丸い茶碗の上に広げるのは新鮮だった。鶏から装るか?それとも卵からにしようか?あれこれ勘案していたら、朦朧とする頭はいっそう混乱してきた。
鶏が卵を産んだのか。卵が鶏になったのか?光あるところ常に陰があり、陰なくして光は輝かないように、交錯する2つの極のうねりこそがこの世の成り立ちなのだ、とニヤニヤしていたら、私の手は自然と動き出し、この太極図をこしらえたのである。
名付けて、陰陽(インヤン)鶏そぼろ丼。
【用意するもの】
★茶碗の半径サイズの衛生的なカップを2つ。
タレ用の小さいステンレスボウル、お弁当用の副菜入れ、おちょこ等々。
★そのカップよりさらに小さいカップを1つ。
水やハチミツのキャップ等々。大き過ぎるとカッコ悪くなるから注意。
【手順】
② 空いたスペースにそれぞれ鶏、卵を入れる。
③ カップを1つ取り除き、その中心に小さいカップを置く。できたスペースに卵を入れ、小さいカップを取り除き鶏を入れる。あとはその逆に鶏と卵を入れたら完成。
茶碗の上に広がる森羅万象。東洋哲学的問題作ができあがった。
ちなみに私のオススメの鶏そぼろは『きょうの料理』の松本忠子さんのレシピだ。
すりおろした生姜を搾った生姜汁を使う。これが風味よくとても美味しい。卵そぼろレシピもあるから以下に貼っておく。